希望の国のエクソダス  

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Tác giả: Murakami Ryuu (村上 龍)
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Publisher ‏ : ‎ 文藝春秋 (July 19, 2000)

Language ‏ : ‎ Japanese

Tankobon Hardcover ‏ : ‎ 422 pages

ISBN-10 ‏ : ‎ 4163193804

ISBN-13 ‏ : ‎ 978-4163193809

「この国には何でもある。ただ、『希望』だけがない」
この小説の単行本が出版されたとき、村上龍は中学生に期待し希望を託しているのか、などという馬鹿げた批判があった。わたしは中学生の反乱を通して、現在の日本社会の危機感と適応力のなさを示したかっただけで、中学生であれ、誰であれ、期待などしない

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   バブル崩壊の2年前、著者は『愛と幻想のファシズム』で、戦後日本が作りあげてきたシステムに拮抗する「狩猟社」を登場させ、世界経済と格闘させた。13年後、教育をテーマにした本書で、著者は再び経済と出あう。金融経済の専門家、文部省官僚などへの3年にわたる徹底した取材から、正確な情報に裏打ちされた話題の超大型長編。

   2002年、失業率は7%を超え、円が150円まで下落した日本経済を背景に、パキスタンで地雷処理に従事する16歳の少年「ナマムギ」の存在を引き金にして、日本の中学生80万人がいっせいに不登校を始める。彼らのネットワーク「ASUNARO」は、ベルギーのニュース配信会社と組んで巨額の資金を手にし、国際金融資本と闘い、やがて北海道で地域通貨を発行するまでに成長していく。

   少年犯罪の凶悪化、学級崩壊など、さまざまな教育問題が噴出し、「学校」「文部省」「親」と責任の所在をたらい回しにする世間を尻目に、子どもたちは旧来の前提に縛られた大人の支えを必要としないことを立証する。『愛と幻想のファシズム』では、システムの破壊を目的とした狩猟社は、その過程で自身がシステム化していくという自己矛盾を抱え崩壊した。「ASUNARO」もまた崩壊の予感が示唆されているが、今回、著者はその手前であえて筆を置く。子どもたちには「希望」を与え、大人たちには「絶望」を突きつける。「ASUNARO」に拮抗するシステムを、今度は社会や大人たちの側が提示する番である。(中島正敏)

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